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人生には物語とROCKが必要だ。

『キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series』9話 感想と考察:実は最も『キノ』らしい回なのでは?

第9話『いろいろな国』の感想と考察です。

今回は、

アバン:『山賊達の話  – Can You Imagine! –』

Aパート:『徳を積む国  – Serious Killer –』

Bパート:『料理の国  – Original –』+『ティーの願い  – Get Real! –』+『美しい記憶の国  – Beautiful Memories –』

という五本立てのショートショート集に加え、ED:『アニメなあとがきの国  – Atogaki of Anime –』というサプライズ仕様でした。

 

 

では、それぞれのエピソードの感想です。

 

  • もう、山賊やめちまえよ……

 

あの長老、警戒心が強すぎて何かにつけて理由を繕って好機を逃してそうです。例えば少人数の恰好の餌食を見かけても、「きっと囮に違いない」とか言いだすんじゃないですかね。目利き力があるんだか、目が曇ってるんだかよく分かりませんね。

 

  • 真面目な殺人者

 

ハイみんな大好き、不良が更生するとことさら評価される風潮への批判ですね。でも、やっぱり一定層の胸を打つと思うんですよ。あの手の話って。

テレビドラマや不良漫画に限らず、悪役が改心する話なんてごまんとありますしね。ギャップが大きいほどドラマチックに見えてしまうのは仕方ありませんよ。批判してる人は単にヤンキーやDQNが嫌いだから不公平だ!と文句が言いたいだけでしょうね。確かに僕も大っっっ嫌いですけど。

あの国には住みたくないですね。人目のある場所での善行がポイントとして認められ、それを報告申請した第三者にも少量のポイントが認められるなんて、つまりそれって監視社会や密告制度と変わらないじゃないですか。国民は常に、他人の行動に目を光らせてるんですから。

元大統領は歪んだ動機で徳を積んで生きてきましたが、これだけの大物ともなれば、その一挙手一投足が注目されるでしょうね。ちょっとした違反行為(いわゆる弾力的運用と言われる程度の)にさえ気を遣ってしまいそうです。失うのはポイントだけではありません。イメージや信用を失う恐怖は、「錯覚」のひと言で片付けられるほど安くはないんです。

ところであのポイントって、本来は貯めて何に使えるんだ。

 

  • 本当においしいと思ってる?

 

椅子に掛けてあった枯葉色のコートから察するに、キノ焼きを食べて卒倒した彼こそ本物のさすらいの料理人でしょうね。キノ焼きは、レシピ的には辣子鶏(ラーズージー)という四川料理が元ネタかな。

あの店の料理人たちは伝説に惑わされてキノの料理を絶品と錯覚してしまいましたが、現実でも雰囲気やネームバリューに惑わされて権威主義に陥ってそうな客っていますよね。まあ、高そうなお店に行っても、いつも薄味に感じてしまう貧乏舌の味覚音痴なので、そんな捻くれた考えになってしまうだけかもしれませんが……。

ついでに言わせてもらうと、よくテレビの情報番組で「おいしいラーメン特集」なんて言って放送してたり、ウマいラーメン屋があるから、なんて言って誘ってくる人がいますよね。でも、ラーメンなんてスープも具材も、その場所その場所で好き勝手バラバラに作ってる料理の代名詞ですよ。完全に個人の舌の好みじゃないかと、常々思ってるんだけどなあ……。

まあ、決して口には出さないけどね!

 

  • 現実を見ろ

 

願いは自分の力で叶えるもの。リアリストで大人のシズは、願い事の紙をティーに譲ります。皆が感心するような願い事をしたためたティーでしたが、陸に向かってひと言、

「どうせ、こんなの役に立たない 」 

 

 

(´・ω・`) …。

 

いや、まあ確かに、前回の感想で子どもは無知でも無邪気でもないみたいなことを書いたけども、なんか……、なんかこう…………。(意志弱い)

でもみんな、幼い頃は「将来の夢は?」とかいった質問に、本当は大した夢なんて持ってないけど、大人が期待してるような答えを返さなきゃと思ったものですよね。

っていうかティーもアレだけど、「大変すばらしいですが、どうして、あのような願いを?」って子どもに訊ねる陸も大概だな……。

 

  • 夢の国へようこそ

 

とても心地良い夢を見たはずなのに、目覚めるとすぐに忘れていってしまいますよね。あの喪失感は実に耐え難いです。逆に怖い夢ほど覚えてるものなんだよなあ……。

しかし、夢も記憶もいまだに決定打となるメカニズムが解明されてないって凄いですね。夢を見るのは記憶を整理するためだとか、現実への対応能力を養うためだとか色々言われていますけど。

ああずっと夢のなかで生きられねえかなあ。寝てるときが一番シアワセだよ……。

 

 

  • あとがき

 

原作は型破りで遊び心に溢れたあとがきが有名ですね。

「夢が叶った」なんて、まるでテレビ用コメントみたいなこと書かれてましたけど、ほんとは面白半分で適当に書いたことがアニメスタッフの目に留まり、「面白そうだからやりましょうw」と、飲みの席の会話のノリで決まっただけって僕は信じてます。

 

こうして観てみると、まるで一冊の短編集のような構成で、実は原作の雰囲気を最も再現した回だったのかもしれません。

バラエティに富んだセレクトもそうですが、憂鬱を写し取ったようなどんよりとしたグレー。誠実さや厳正さを印象付ける落ち着いたブルー。食欲を誘う暖色。穏やかで優しい淡い配色の街並み。神秘性を感じる紫の夕焼け。"いろいろ"というだけあって、各エピソードの色使いも象徴的でした。

 

そういえば公式がツイートしていましたが、これまで提供画面にはそれぞれ、本編前は凶器、本編後は料理のカットが使われていたそうです。言われて気がつきました。

今回ももちろん、その流れを汲んでます。